ポリエチレン樹脂(PE

ポリエチレン(polyethylenePEとは

 プラスチックの中で最も生産量が多いです

 エチレン CH2CH2 を重合させた高分子化合物です。炭素と水素のみからなる脂肪族炭化水素で、高分子鎖の枝分かれの仕方により、性質が変わります。

構造式

  

 

性 質

  無味無臭。

  化学的に安定していて水や薬品に耐性がある。

  電気絶縁性に優れている。

  防湿性に優れている。

  軽い。

  加工しやすい。

  ほかの物質より、添加物が少なく加工できる。

  プラスチックの中では最も生産量が多く、食品用としても最も多く使用され
     ている。

 

分 類

 ポリエチレンは、密度によって性質や用途が異なります。

 (a)低密度ポリエチレン

  (b)高密度ポリエチレン

  (c)直鎖状低密度ポリエチレン

 

低密度ポリエチレン

 低密度ポリエチレン(LDPE)は、エチレンに高圧下、ラジカル重合触媒で重合させて製造します。

 結晶性が悪いため密度の低いポリエチレン( 0.92g/ cm2)ができます。

 わが国で生産されるポリエチレンの半分以上が低密度ポリエチレンです。

 化学的な構造は

 長い線状分子に短い枝がたくさんついているのが特徴で、エチルやブチルなどの短い分岐が多数できるため密度が低くなります。軟化温度が低い(105℃)ので加工性は良いです。

 

特 徴

   添加剤を使用せずに成形できる唯一のプラスチック。

   耐熱温度は 8090 ℃で高温での使用には適さないが、透明なフィルムが
   できる。

   ヒートシール性(熱圧着)を持つ。

 

用 途

            
             
 ポリ袋         マヨネーズのチューブ

            
          砂糖や米の袋       密閉容器やビンのふた

        
          ラップフィルム

 

高密度ポリエチレン

 高密度ポリエチレン(HDPE)は、エチレンをチーグラー触媒を用いて重合させることにより、製造したポリエチレンです。 密度が 0.95g/cm2と高く、乳白色で剛性のポリエチレンです。

化学的な構造は…

 分子鎖の枝分かれが少なく、結晶性が高いです。構造は分子量の違いだけで、ローソクと一緒です。燃えるとロウのにおいがします。

特 徴

 フィルムは不透明でパサパサした感触があるが、強靭である。

 防湿性がよく裂けやすい。

 衝撃に強い。

 耐熱温度が高く(120℃以上)、ヒートシール性もある。

 

用 途

 

ラミネート包装の内面

食品油などのボトル

食品用コンテナ

漬物容器

バケツ

パイプなど

 

 

直鎖状低密度ポリエチレン

 低密度ポリエチレンの一種。分子構造が普通の低密度ポリエチ レンとことなる直鎖状であるため、LDPEに比べて優れた特徴があります。

化学的な構造は

 長鎖の枝分かれは存在しませんが、1-ブテン、1-ヘキサン、4-メチルペンテン-11-オクテンのようなα−オレフィンを数%共重合させることにより短鎖の枝分かれを導入して低密度にしています。

特 徴

      低密度ポリエチレンよりも強靭で優れるが、成形加工性は劣る。

      薄くても強度に優れている。

    低温でもヒートシール性に優れている。

  伸張性や透明性にも優れている。

 

用 途

 

            
          ラップフィルム         かつお節の袋

ハム・ソーセージ、うどん、チーズなどの
ラミネート包装の内面

食品用包装の袋やフィルム

 

使用上の注意

      「電子レンジで使用可能」と表示されているもの以外は電子レンジでの
  高温(
140℃以上)の加熱は避けましょう。

        ポリエチレン製のラップフィルム食品のにおいが冷蔵庫内などに移
  ることがあるので注意しましょう。