フタル酸エステル ;アジピン酸エステル ※フタル酸エステルはベンゼン環(亀の甲)の隣接した2箇所のカルボン酸に、アジピン酸エステルは炭素6個でアルカンの両端のカルボン酸に、それぞれアルコールがエステル結合したものです。
フタル酸エステル アジピン酸エステル
フタル酸エステルとは… フタル酸エステルはエステル結合したアルキル基としてはメチル (CH3)からトリデシル (C13H17) まで、また直鎖と分岐したものがあります。ポリ塩化ビニルなどのプラスチックやゴムの可塑剤として繁用されています。
フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)[di-(2-ethyhexyl)phthelate](DEHP)※は 、フタル酸エステルで最も使用量が多く、可塑剤全体の半分以上を占めています。
アジピン酸ジエチルヘキシルとは…
アジピン酸ジ(2-エチルヘキシル)[di(2-ethylhexyl)adipate](DEHA)はポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデンに使用される可塑剤で、アジピン酸ジオクチル(DOA)ともある。わが国では,1980年代始めに発がん性が疑われたため、ポリ塩化ビニル製ラップフィルムには事実上使用されなくな りましたが、欧米など諸外国では広く使用されています。わが国でもポリ塩化ビニル製手袋には添加されています。
※di-octyl phthalate(DOP)ということもあるが、直鎖のoctyl(C8)と区別するためにはDEHPの名称を用いる。
ラップフィルム
食品の容器・包装に用いられているプラスチックの可塑剤は、わが国では1970年代までフタル酸エステルが使用されていました。
しかし…
その後、フタル酸エステル系可塑剤の中でもっとも使用量が多いフタル酸ジ(2-エチルへキシル)に動物実験で 発がん性
催奇形性
胎仔毒性など が明らかにされました。
わが国では食品用途のPVCには、業界が自主的にほとんど使用しなくなりました。
そして、DEHPから一旦はDEHAに転換が図られました。
しかしその後…
アジピン酸ジ(2-エチルヘキシル)も発がん性や催奇形性などが動物実験で報告されてたことから、これも業界の自主的判断で他の可塑剤を使うようになりました。
油脂性食品、アルコールを含んだもの、とくに熱いものには使うのを避けたほうがよいでしょう。
※厚生労働省により、平成15年(2003)8月から、DEHPを含むPVC製の器具・容器包装を油脂または油脂性食品に使用することが禁止されましたが、食用以外の用途には一般的に使用されていますので注意しましょう。
玩具
塩化ビニルの製品にやわらかさや弾力を出すために「可塑剤」が加えられます。 歯固めやおしゃぶり、その他小さい子供が口に入れる可能性のあるプラスチック玩具には、塩化ビニルが使われているものがあります。可塑剤の中でも、もっとも多く使われているのが「フタル酸エステル類」と総称される物質です。
塩化ビニル製玩具に含まれるフタル酸エステル類の分析結果
このフタル酸エステル類は、塩化ビニルに強く結合していないので、塩化ビニル製品やその廃棄物から漏出してきますし、噛んだり吸ったりという圧力加わることで、より出やすくなります。赤ちゃん用品は特に素材をよく確かめることが大切です。プラスチック玩具はポリエチレンかポリプロピレン製のものを選びましょう。
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