ノニルフェノール

ノニルフェノール(nonylphenol)とは…

   分子量 220 の無色または淡黄色の粘りのある液体

   かすかな炭酸臭がある。

 

 フェノールに炭素9個のアルコールが付いたもので、アルコールは直鎖のほか、分岐した多数の異性体の混合物です。普通の有機溶媒には溶けますが、水には難溶です。主にアニオンや非イオン界面活性剤の原料となりますが、ほかにリン酸エステル系酸化防止剤の原料となります。この酸化防止剤は、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ゴムなどの製品に加えられることがあり、そのため分解してできるフェノールが、検出されることがあります。

構造式

 

溶出問題

 PVCのラップフィルムや手袋から、ノニルフェノールが 102,600 ppm検出されたことがありました。これらの製品を調べたところ、酸化防止剤のリン酸トリ(ノニルフェニル)エステルが検出され、これが分解してノニルフェノールが生成したものと考えられました。一方、硬質ポリ塩化ビニル製品からは検出されませんでした。

ポリ塩化ビニル製品中のノニルフェノール

試料

検出量

含有量(ppm

最小値

最大値

平均値

ラップフィルム

1616

10

2600

1790

手袋

44

356

2390

1340


     「器具・容器包装 」(食品安全セミナー7)中央法規出版 p77(2002)

ラップフィルムや手袋に含有されるノニルフェノールは、n-ヘプタンやナタネ油に極めて溶出しますが、水や20%エタノールにも数十ppb程度の溶出が見られます。

 

 

 

 

 

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