金属缶
材料としては、ブリキ(鉄板にスズをメッキしたもの)、無スズ鋼(tin-free steal:TFS)、およびアルミニウムなどが用いられています。
ブリキ
〈 利 点 〉 容器の密封時に封入された微量の酸素をスズが除去することで、食品の変質を促進させる鉄イオンの溶出を抑える働きがあります。
〈 欠 点 〉 開封後は、そのまま置いておくと果実類など有機酸を含む食品の場合、スズが腐食されて溶け出し、急性食中毒を起こす事例がしばしば生じていました。そのため、最近はほとんどが内面を樹脂コーティングしたスチール缶やアルミニウム缶、あるいはTFS製のものに代わってきてい ます。
〈 溶 出 物 〉 スズが大量に溶出することがあります。その要因として、缶詰の製造に使用する水に含まれている硝酸イオンと酸素あるいは亜硝酸イオンとのかかわりがあるとされています。
無スズ鋼(TFS)
〈 利 点 〉 ブリキに代わるものとして 1960 年代に日本で開発され、世界に普及しています。安くて耐蝕性、塗料付着性が優れています。
〈 欠 点 〉 ハンダ付けできません。
現在日本で生産されている缶詰や飲料用缶は内面をエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ポリ塩化ビニル系などの合成樹脂塗料で塗装されたもの、あるいはあらかじめポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどをTFSにラミネートしたものとなっています。最近は食品に対して最も安定なポリエステルでラミネートした缶が普及し始めています。
金属缶は、金属製の器具・容器包装の中で唯一、食品衛生法の規格基準が定められています。 ただしこの規格は液状とは限らない水分を含んだ固形物も対象とされ、乾燥した食品を入れるものはその対象とはなりません。
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